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Agile Japan 2012 参加レポート

会社のチームメンバーと一緒に、3/16(金)に開催された「アジャイルジャパン2012」(大阪メイン会場)に参加してきました。

午前と午後のセッションを通して得た気付きはたくさんありましたが、ここでは、最後のクロージングで「アイディアワークシート」に書いた私自身の気付きを、メモしておきます。各セッションの内容や感想は、他の参加者の方がきっと詳しく書いてくださると思うので、ここでは割愛 :)

アイディアワークシートは、午後の各セッションごとでの気付きを紙に書いて振り返りをしよう、という趣旨のもの。私の気付きは、以下の通りでした。

Agileセッション: イベント全体を通して思ったことは、今、現場で疑問を持ちながらも、ひたすら残業をしながら働いているエンジニアに、もっと、今この場にある熱気や希望、期待の持てる話しを伝え、彼ら自身が動き出していけるような切っ掛けを、社内に作っていきたい、ということ。本部系にいるというメリットを使って、仕掛けていきたい、いかなければならない、と強く感じました。現場で働いたことがあり、現場を知っているからこそ、本部にいて出来ることがある。会社を変える、少しでも「ここで働くことが誇らしい」そう思える場にしていけなければ、皆がそう思える切っ掛けを少しでも与えることができなければ、私が今、本部で働いている理由なんてない、と思います。

Businessセッション: このセッションでは「アジャイルをも活用した新しいビジネスモデル」セッションを聞きましたが、アジャイルという手法を使っての開発は、まだまだ試行錯誤の時なのだと感じました。失敗をお互いに補い合えるたくさんの会社と、それらの間に強い繋がりが必要である、と思います。会社単位で考えるのではなく、日本のIT業界全体で挑戦し、失敗し、成功しながら、アジャイルな開発を取り組んでいく。そういう動きが必要ではないかと感じました。

Changeセッション: 何事も変わるためには「せっぱつまる」ということが必要なのだ、と思いました。変わらなければ沈没する、というところまで来なければ、大切に蓄えてきた荷物なんて捨てられる訳がない。今が、いかに「せっぱつまって」いるのか、気付いていない人、気付いているけど見ないふりをしている人、そういう、根拠のない「何とかなる」を吹き飛ばし、変わる必要があるのだと、けしかけていくことが、今、重要なことだと思います。

アジャイルジャパンで得た気付き、ぜひ社内に持ち帰たいと思います。イベントを企画したり運営したりする、というのは、参加者が思っている以上に大変なことです。スタッフの皆さま、スピーカーの皆さま、準備や当日の運営、ありがとうございました。

「折れない新人の育て方」

折れない新人の育て方 (自分で動ける人材をつくる)

折れない新人の育て方 (自分で動ける人材をつくる)

ここ最近、近頃の新入社員は「我慢が出来ない」「主体性がない」「やる気がない」「すぐ辞める」ということが言われていますが、なぜ最近の新人はそうなのか、そういう新入社員をどうやって育てていけば良いのだろうか、ということが書かれている本です。

新入社員の離職率は、本当は1980年代からほぼ変わらないことや、常識の違いによる偏見、誤解がある、と新人を擁護する立場での意見が書いてあるのと並列に、用いられている例えには「読者の皆さんは信じられないだろうが、最近の新人は悪気なくこんなことを言うのだ」というような書き方もされており、新入社員が何をどう感じて行動しているのか、ということが、わたし自身よりも上の世代から見た視点で書かれています。

この本が執筆されたのは2009年、本の中で書かれている「新人」世代とは、ちょうどわたし自身があてはまる世代なので、もっと上の世代から見ると、わたし達世代はこういう風に思われていて、こんな風に分析されているのか、と(おそらく著者の意図していた読まれ方とは違った意味で)とても興味深く、面白く読めました。

本の中では、社会の変化と共に、新人をとりまく環境が(著者の世代と比べて)随分と変わってきていることが書かれており、IT化が進んだことで、以前なら自然と身につけられたコミュニケーション能力も放っておくだけでは育たなくなっていること、業務の複雑化により全体が見えないことが増え、自信に繋がる小さな達成感や成功体験が得にくくなっていること等があげられています。

さらに、新人が育ってきた社会背景などを踏まえ、「新入社員の価値観を理解するための5つのキーワード」として、「成長(成長願望が強い、そのため無駄な作業と感じたらやる気をなくす)、貢献(役に立ちたいという思いが強い)、絆(同期同士の絆は以前よりも深い)、自分らしさ(誰でも出来る仕事だと思うとやる気をなくす)、リセット(転職は能力がある人だから出来るものと捉え、転職に抵抗がない)」ということがあげられています。

わたしから見ると、どれも「そうそう、そうなんだよね」と納得できるものばかりで、わたし達世代のことをよく捉えているのだなぁと感じました(だけどこの5つのキーワード、もっと上の世代から見ると「信じられない!」と思われることなのかもしれません。その辺りのことについてはあまり触れられておらず、新入社員の価値観はこうだから、こういう風に接していきましょう、という話しに流れていたため、どこにどうギャップがあって、上の世代の人達の「当たり前」が何なのか、というところも知りたかったです)。

また、本の中では、新人が躓きやすい10のポイントがあげられていて、それぞれごとに、どうフォローをしていくのが良い、ということが書かれています。そしてそれをまとめると、上司や先輩自身が新人だった頃のことを自分でしっかりと振り返り、理屈よりも経験で語り、こういう風にしなければならないと諭すよりも、新人自身が「何事もプラスに捉えられるようになる」ような態度を取ろう、ということが書かれていました(プラスに捉えられる態度とは、ミスをした時に落ち込んでいたら「ミスは起こるもの、次に活かそう!」と前向きに声をかけること、逆に、自分のせいではない、と開き直ったり気にもしていなければ「同じような状況になったら、次はどうするんだ?」と自分事として捉えられるように声をかける、等、新入社員の気持ちを「前向き」にさせていく態度)。

著者との世代が自分とは離れているため、読んでいる途中、少し他人事の気分にはなってしまいましたが、自分のことを分析されているようで面白く、また、上の世代や、そしてこれから増えていく下の世代、どんな世代間であれ、そこには絶対に、何かしら大きな価値観のギャップがあるものなのだと感じました。

今までの生活を少し振り返ってみれば、なんの疑いもなく「当たり前」としている、その背景の違いからくる誤解というのは、職場だけではなく、いたるところにあるのだと感じます。それを常に念頭において、柔軟に思考を切り替えられるようになるのは難しいとは思うけれど、まずは、何か「あれ?」と思うことがあった時には、自分と周りとでは前提条件や背景が違い、そこにはギャップがあるのだということを、思い出せるようになれれば良いなぁと思います。

今回は、自分が所属している世代についての分析と対応、という形でこの本を読みましたが、違う世代に焦点をあてた本も読んでみたいなぁと思います。

「主体的に動く」

主体的に動く アカウンタビリティ・マネジメント

主体的に動く アカウンタビリティ・マネジメント

  • 作者: ロジャー・コナーズ,トム・スミス,クレイグ・ヒックマン,伊藤守,花塚 恵
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2009/09/09
  • メディア: 単行本
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確か一年半程前に、この本がとても良いと誰かが教えてくれて買ったのですが、読んでみようとするも、読みたいという気持ちが続かなくて、結局今の今まで本棚で眠らせていた本。でも、自分で考えて動く、ということが、今まで以上に諸に仕事に直結するようになったタイミングで、これもまた、自然と手に取っていました。時期が来た、ということなのでしょうか :)

この本のテーマはひとつ、最初から最後まで「アカウンタビリティ(責任)」について書かれてます。「オズの魔法使い」のキャラクターやストーリーに準えて、被害者意識がいかに悪影響を及ぼすか、アカウンタビリティを持つことがいかに大切か、どうすればアカウンタビリティを持ち続けることが出来るのか、高いアカウンタビリティを持つ人を育てることが出来るのか。一流企業の例を多く用いて、解説が書かれています。

文章自体はそんなに難しくはないのですが、書かれていることを自分のことにあてはめながら読むと、ひとつひとつの言葉に刺されているようで(笑)、なかなか読み終えることが出来ませんでした。アカウンタビリティが自分にあるかどうかのチェック項目もあり、その度に、「自分事として捉えてなかったなぁ」「そうと意識せずに、いつの間にか人のせいにしていたなぁ」と気付かされます。

読み終えるのがきつい本に出会うのは、久しぶりだったような気がします。読んでいる最中は、読みながらでさえ「そんなこと言ったって」と思うことがありましたが、この本一冊を読み終わった今、本当に読んで良かったと感じています。すべてを自分事として捉え、自分の責任として行動する、というのは、悟りの境地でも開かない限り無理なのではないかと思うけれど(笑)、すべては自分で変えられる、という考え方は、むしろ心を晴れやかにしてくれるのだと知りました。一見すると自分ではどうにもならない、と思うことでも、自分の意識や対応を変えることは出来る。人のせいにしたり、自分とは関係ないと思っている限り、物事は決して良くならない。自分事として取り組まない限り、将来を切り開いていくことは出来ない。成果は、達成することへの責任を引き受けて初めて生まれる。

どんなに高いアカウンタビリティを持っている人でも、この本に書かれている「ライン下」(アカウンタビリティを失い、被害者意識に取り付かれた状態)に落ちることは簡単で、常に「ライン上」にいようとすることが大事だ、と書かれていました。

いつもいつも気を張りすぎて、周りの人にもアカウンタビリティを求めすぎるやり方は、自分も周りもしんどくなってしまうと思うけれど、うまくいかないことがあったり、周りのせいにしたくなる時、ちょっと、この考え方を頭に思い浮かべるだけで、物事に対する対応が、全然違ってくると思います。読むのは大変、書いてあることを身に付けるのも大変、だけれど一度読んでしまえば、心にずっしりと沈む良書です。

「会社のしくみがわかる本」

数日前に読み終えた本ですが、実はこの本、今の会社に内定が決まった時に会社から配布されたもの。読んできて下さいと言われるも、まったく読む気にならず放置すること数年(笑)。本の整理をしていた時にひょこっと出てきたので、興味を持ってぱらぱらと読んでみました。

発行年が2005年でだいぶ前のものですが、さくさくと読めて、知らなかったこともたくさんあって、勉強になりました。古い本なので、今はそうでもないかも、と思うこともあったけれど、会社の仕組みの基礎の基礎を学ぶには、とても良い本だと思います。OJTの本来の意味、給与明細書の見方、福利厚生という考え方、売上と利益について、顧客満足度、会社の形態、本部系部門のそれぞれの役割、人事制度、ハラスメント、日本の従来のビジネスモデル、多様化する労働形態、リストラの本来の意味、社名を変えることの意味、会社の寿命、フリーターやニートについて、キャリア設計について etc. 浅く広く、いろんなことが書かれています。

自分が働いている会社と照らし合わせてみると、なるほど、と思うところもあり、会社への理解も変わってくるなぁと思いました。わたしが就職活動をしていたときには、周りの反応等からどうしても意識せざるを得なかった、大手だからとか、ベンチャーだからとか、そういう考え方は、もはや何の意味もないのだ、と感じます。きちんと知るって大事。わたしがよく読んでいるid:Chikirinさんの日記で、昨日更新された記事「「誰が言ったか」ではなく、「何を言ったか」が問われる時代へ」とも、タイムリーにつながるところがあって、皆々、もっと賢くならねば、と思いました。

Future Centerとデザイン思考

EGMサミット2011 Autumnでお話しを聞かせて頂いた横河電機さんの、Future Centerの見学をさせて頂きました。FC Directorのお二方のお話しはとても刺激的で、わたしが今いる会社のFCと比べて、一歩も二歩も先を行っている感じ。次元が違うと感じてしまうほどだったけれど、でも、学ぶことは多くて、今後の活動に活かしていきたいです。イノベーションのプロセスの図の考え方は、絶対に、活かしていけるはず。

FCの持つ役割として「課題解決」とか「問題解決」という言葉はよく使われるけれど、この表現に、なんとなく違和感を感じていました。Futureのことなのに、なんとなく、わくわくしない。なんとなく、受け身な印象を受けてしまう。その違和感の理由が、今日のお話しを聞いて、わかった気がしました。課題解決というその表現も不適切ではないけれど、わたしはこれこそを「デザイン」と言いたい。2年前にid:papanda0806さんに教えてもらって書籍を読みあさっていた「デザイン思考」と繋がった、と思いました。

ヨーロッパやアメリカのFCのお話しを聞いて、頭に思い浮かんだのは、MITのメディアラボのことです。様々な背景を持つ多種多様な分野の人が集まって、テーマに沿って話し合い、アウトプットを出していく。同類だけで話し合っていても解決できなかったことを、違う考え方を持っている人が、ほんの少し違う角度から見ると、簡単に解けてしまうことだってある。それってまさに、様々な学部に所属してそれぞれの専門知識を深めながら、かつメディアラボに集い、ジャンルを超えて知識を混ぜ合わせ、イノベーティブな商品開発をしている彼らが日常的にやっていることです。

お話しを聞いていて、面白い、と感じたのは、アメリカではそうすることが既に当たり前になっている、ということ。アメリカではFCセッションは星の数ほどあって、人々は日常的にそれらを吟味し、取捨選択し、利用している、ということ。自分達だけでは分からないこと、解けないことは他の人に頼って一緒に考える。それを、当たり前とする、そんな文化が根付いている。どんどん複雑化している物事の、その解き方を皆で考え、そこで得た答えをそれぞれが持ち帰り、それぞれが具体化していく。その過程で差別化の要素が生まれ、そこでまた競争が行われ、そして良いものが残っていく。ひとりでは到底解けない問題がある、ということを、認め、頼れるところは当たり前に頼る。世界が待ったなしで進む中、わたし達日本人にもその力が必要だと感じました。

多種多様な人が集まり、それぞれの知識や背景を持ち寄り、課題や問題を解いていく。それこそ、わたしが思う、デザイン思考の考え方。FCとは、デザイン思考で物事を解決し、新しい考え方、新しい価値を生み出していくための鍵を創り上げる場所。課題解決をするというよりは、今まで見えていなかったことを見ようとし、そして、新しい考え方や価値を生み出すためのデザインをすること。今は、そんなふうに感じています。

「私が会社を変えるんですか?」

私が会社を変えるんですか? AIの発想で企業活力を引き出したリアルストーリー

私が会社を変えるんですか? AIの発想で企業活力を引き出したリアルストーリー

「会社を組織開発していくサクセスストーリー+その解説」の二本立て。さくさく読めて読みやすく、何よりストーリー部分では「そうそう!」と頷ける部分がたくさんあって、共感しながら読むことが出来ました。

AI(アプリシアティブ・インクワイアリー)という考え方を、この本を読んで初めて知ったのだけど、ネガティブンシンキング(問題解決型)をするよりも、ポジティブシンキング(理想実現型)をしよう、という考え方は、なるほど、と思いました。AIは「Appreciative(真価を求めるような) Inquiry(探求、発見、問いかけ)」の略で、まさしくという名前◎

組織、社員の問題を見つけて解決していこう、という「問題解決型」の手法ではなく、組織、社員の良いところを見つけ、そこをこそ伸ばしていこうという「理想実現型」の手法は、責任の押し付け合いにならないのが良いところ。問題解決型だと、問題を見つけた時点で、その問題の責任はどこかにあるのかと考え始め、自分や部門を守るための無意味な責任のなすりつけが起こりがちだけど、理想実現型では、少なくとも「今ある問題」に注目する訳ではないから、問題の責任の押し付け合いは起きない、と書いてありました。以前、コンサル会社の方が「今までいろんなことを経験してきたけど、不満は原動力にはならない、という結論に至った」とおっしゃっていたことにも通じます。

それから、組織は生き物、という考え方。サナギがいきなり蝶にはならないように、子どもがいきなり大人にはならないように、いきなり思い描くような会社にするのはとても無理。ひとつひとつ、段階を踏んで、成長していく必要があるし、もちろん、AIを推進するわたし達自身も、変わっていかなければいけない。組織が成長していくということは、社員が成長していくということ。わたし達自身もまだサナギで、組織の成長にあわせて、成長していかなければいけない。この言葉には、すごく、はっとさせられました。もっとよくなること、変わることを強要するんじゃなくて、AIを推進するわたし達こそ、間違ったことをすればそれを認め、先陣切って変わっていくべきで、そのことを忘れないようにしないと、と思います。なにより、わたし達自身が当事者で、他の誰かの会社を成長させようとしている訳ではないのだから。つい、第三者的視線で見てしまうこともあるけれど、決して決して、他人事になってはいけないのだと思いました。

それから、AIを動かす4Dサイクルのこと。「ディスカバリー(Discovery) = 潜在力発見」「ドリーム(Dream) = 理想像構築」「デザイン(Design) = 変革設計」「デスティニー(Destiny) = 変革実現」の4つ。ここで、AIを推進するにあたって、特に正念場なのは、Designの部分。楽しく夢のある理想をいかに現実にするか、そのギャップでくじけそうになりがちなところには、プロのファシリテーターの手を借りるのが良いそうです。最初の1サイクルをプロのファシリテーターに回してもらった後は、たどたどしくても、社内のAI推進チームの手で回していく。それは、自分達の会社を自分達の手で回していけるようになるべきだから。上手にコンサル会社を使おう、という言葉も、印象的でした。頼りっぱなしでは何にも解決しない。解決するのは社員自身。

社員に向けてビジョンを発信するときには、キレイにまとまった、温度のないキャッチコピーやスローガンよりも、土臭さ、人間臭さを感じられる言葉を選ぶのも、とても大切。人は結局、感情で動く生き物だし、やりたいと思ったことしか、やらない。そのキャッチフレーズやスローガンが「自分のもの」になったとき、初めて実感して、自分のこととして考え始め、動き始めるんだなぁと、感じました。